地球の遊び方~ タイの風俗から南米の置屋まで

読者の海外風俗体験記

第49回  タイでの体験記 by ストレイキャッツ

23時45分、ドンムアン到着。 前回の訪泰より5ケ月ぶりのバンコクだ

出国ゲートを通過後、タクシーに飛び乗り、前回訪ねたソイカウボーイのP店へと直行する。今回、バンコクを訪れる理由は、P店のオンに逢うためだ。 一度しかペイバーしていない彼女であるが、一番のお気に入りである。再会の時が待ち遠しい。

 30分ほどでP店に到着、渋滞がなければこんなものか。 時間は0時40分。ソイの入り口に入るとすぐにマスターが駆け寄ってくる。私の顔を覚えていたようだ。彼に荷物を運んでもらい、店に入る。5ヶ月ぶりだと店のメンバーもずいぶん様変わりしている、この業界は入れ替わりも頻繁なのだろう。 そんなことよりオンがいない、ペイバーされているのかな? 店に入った時間もずいぶん遅いし、こればかりはどうしようもない。

 年輩の女店主にそのことを尋ねると、今日は休みでいないとのこと。「電話で呼び出すからここで待つように」と言われてしまう。なるほど、どこかに電話し始めた。個人の事情を詮索するのも野暮な話、ビールをたのみおとなしく待つことにする。 幸い、店の女の子達もこちらの状況を理解してくれているらしく、ドリンクをねだることもしてこない。まあ久しぶりだし、知っている顔にはこちらからドリンクを進めてみたりして時間をつぶす。

 時間は1時45分になったが、彼女はこない。「ここで待ちなさい」と言われてしまえばそれまでだが、正直、少しイライラしてくる。ペイバーには縁のなさそうな女の子が「ドリンクOK」などと聞いてくるが、「NO」と答えてしまう。そのやりとりを見ていた女主人が少しきつい口調で女の子に何か言っている。「商売なんだから遠慮するんじゃない」とでも言っているのだろうか? 程なくドリンクが運ばれてきてしまった。 これにはさすがに頭に来てしまう、私の返事は聞いていたはずだ、これでは筋が通らない。 女店主を捕まえてレシートを突き返し、少し雰囲気が悪くなってしまう。彼女は店の奥に消えてしまった。

 時間は2時をすぎた。この時間は全ての店の照明が落とされるが、一応営業は続けているらしい、白人2人とタイ人の3人組が店に入ってビールを飲みだした。この3人組は何だろう?2時を回ってすぐ店に入ってきたし、白人のくせにタイ語がやけに達者だ。雰囲気が他と全く違う。ひょっとして2時をすぎると業界人の時間なのだろうか? 彼等以外に店にいるのは自分だけ、明らかに場違いな感じに少し躊躇してしまう。

 時間は2時半、彼女がここに来るわけはない。「女主人が彼女はもう来ないかも」などと言い出した。いろいろ事情はあるにせよ、日本人の感覚からすれば不誠実な対応だ、頭に来る。「待てと言うからこうして待っているんだ、なにか問題でもあるのか!」逆ギレでもないが、そう返事をすると「もう少し待ってくれ」などと言い出す。頭に来るなあ、追い出されるまで居座ってやろうかな?

 待ったところで来るわけはないのは分かっている、かといってこのまま帰るのも非常に不愉快だ。どうすればいいんだろう? そんなときクンが声をかけてきた、「彼女は来ない、近くのホテルまで案内するから今日はもう行こう」。彼女はずっと隣に座っていた女の子だ。英語も多少出来るし、こちらの立場も多少は理解しているだろう。女主人が相手だと突っ張ることも出来るが、彼女にそういわれるとそうもできない。今の自分にすれば店を出るためのいいタイミングのようにも思える。

 時間も時間だし、クンに従うことにする。ソイのすぐ脇の安ホテルにチェックイン。キーを受け取り部屋に向かうとクンもついてくる、荷物を運ぶと言っている。狭い階段を上り、部屋に入ると彼女も当然のように部屋に入ってくる。やっぱりというかなんというか、さすがに少し困惑してしまう。彼女はだまってテレビを見始めた。すぐには帰らないつもりのようだ。

 こんな時はどうすればいいのかな? とるべき道はいくつかある、どれがベストなんだろう。黙ってテレビを見ている彼女の隣に座ってみる。それだけじゃ、少し間が悪いと言うか、どうしよう? つい彼女の肩に手を回してしまうと、彼女は身を寄せてくる。成り行きとはいえ、こうするのがお互いにとって良い選択だろうか?

 いつもと違う状況に、妙に熱くなってくる。こうなってしまった今、答えは一つだ。このままクンと1晩過ごしてしまう。

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 昨日は少々出鼻をくじかれた。しかし、今日の夕方にオンは店に来るらしい。今となってはそのことを信じるより他にない。今日来てなければ、1バーツも使わずにP店とはお別れするつもりだ、それが当然だろう。19時30分頃にP店へと顔を出す。この時間はまだ営業していないらしく、みんなで食事をしている最中だ。しかしその中にオンはいない。やれやれ、またか。

 夕方はとっくにすぎている時間だ、人を待たせてドリンク代を稼ごうとしているのか?いけないことだが変な猜疑心だけが強くなってくる。食事中の女店主を捕まえ、「いつまで待たせるつもりだ、いい加減にしろ」と少々声が荒くなってしまう、しかし彼女はもう来ているらしい。急いで店の娘に呼びに行かせる。すると程なく彼女は現れた、化粧をしていたらしい。女店主に先ほどの非礼を詫びる。

 何はともあれ5ケ月ぶりの再会だ、昨日から今までの出来事があっただけに、かえって嬉しく感じてしまう。そういえば、お互いまだ食事をとっていない、とりあえず近くの屋台に行った後、ビールを飲みにP店へと戻る。彼女にさえ会えれば、P店にもう用はない。昨日から感じていたことだが、この店にはなんか騙されているような気がしている。さっさと店を出たいのが正直なところだ。1時間ほど時間をつぶせばもう十分だろう。9時前にチェックをすませ足早に店を後にする。

 P店をでてホテルに行こうとしたら、彼女はナナに行こうと言い出した。理由を聞くと姉がナナのH店で働いているから少し立ち寄って欲しいとのこと。そんなこと言われても面倒だし、実の姉に顔を見せるのはなんか気が引けてしまう。少し悩んでいると彼女はしきりに行こうと誘っている。この状況ではホテルに連れていけそうにない。店によってドリンクを頼めば姉の収入になるわけだし、遠慮することもないかのかな。

 2人でタクシーに乗りナナへと向かう。H店に入りビールを頼んでいると、姉らしき人がすぐにやってきた。しかし妙に気が引けるなあ、けど彼女の方はそんなのお構いなしという感じ。姉妹でお互い助け合いなんだろう。しかしステージを見ていると、ソイカウボーイとは違ってきれいな人が多いように思う。ソイカウボーイは、もう終わりなんて言われているけど、そうなのかもしれない。H店ではそれぞれドリンクをオーダーするだけでおしまい。こちらとしては挨拶するだけだし、長居する必要もない。ビールを半分ぐらい残してH店を出る。

 これから先は、ようやく2人の時間。考えてみるとバンコクについてからまだ24時間たっていない。短い時間にいろいろあったなあ。そんなことより今は結果オーライだ。それぞれ手短にシャワーを浴びて、ベッドに入る。終わってしまえば平和な一日。

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 翌朝、オンにこれからどうするか聞いてみる。 私としては、今までみたいに余分なつきあいに振り回されるのは面倒だし、バンコクにいてもすることがない。パタヤかラヨーン辺りに行かないかと誘ってみる。彼女の返事はあっさりOK。良かった、これでしばらくゆっくり出来そうだ。

 10時頃に荷物をまとめてチェックアウト。一緒にタクシーに乗り込み、とりあえず彼女のアパートへと向かう。10分ほどでアパート到着。ついた場所はスクンビットのソイの奥のそのまた奥といった場所だった。ずいぶん古びた外観だ、家賃はいくらぐらいなんだろう? この辺りは、当然といえばそれまでだが、周りにはタイ人しかいない。表通りとはえらい違いだ。風貌の異なる自分としてはずいぶん居心地の悪い場所のように感じてしまう。彼女は、一旦タクシーを降り、自分はしばらく待つことにした。

 10分ほどで彼女は戻ってきた、なんか様子が今までと違う。彼女が言うには、「明日から姉と一緒にナコンサワンに行かなければならないので、一緒に行くことが出来なくなってしまった」ということらしい。何を今さら、そんなことは前から分かっているだろう。予期せぬ答にしばし呆気にとられていると、彼女が自分の荷物を外に運び出し始めた。今日一日は一緒にいれるからとりあえずアパートに入れということらしい。なんだか訳が分からないまま、アパートの入り口に入ってしまった。

 このアパート、外観以上に内部もずいぶん汚い。通路にはゴミだの食べ残しが転がっていたりするし、日本人の感覚からすれば、本当に不潔だ。廊下ですれ違った住人の中にはタイ人とは違う容姿の人もいる、バングラディシュとかその辺りの人だろう。しかしこの建物が特別汚い訳でなく、周りの建物はどれも同じ様なものらしい。ちなみに設備は、シャワー、トイレ等の水周りが共同で部屋は単なる部屋でしかない。部屋の天井にファンがぶら下がりエアコンはなし。 タイ式トイレの汲み置き水が少々濁っているのが非常に気になってしまう。アパートというより長屋が積み重なって5階建てになったものといった方が良さそうだ。狭い通路でガスコンロ使って調理している人もいる。だいじょうぶなんだろうか?

 他人の生活を好奇の目で見ている自分に少々罪悪感を感じつつ、階段を上っていき、5階の彼女の部屋についた。ドアを開けてもらい中に入ると同居人が2人いる、もちろん女性だ。この部屋で3人で暮らしているらしい。一応挨拶して、家具で仕切られた奥の方に座り込む。部屋の中は女性の部屋らしく、狭いながらもきれいに整理されていて少しほっとする。 

 しかし同居人がいることは考えていなかった。一応部屋は仕切られているからいいけれどとても落ち着けそうにない。同居人の1人は彼女の姉である。姉と行っても昨日の姉とは別人で、始めてみる顔だ。なんか気まずいなあ。自然と部屋の隅に座り込んでしまう。もう一人の同居人、彼女の名前はディンというらしい。いつしかディンが食事の用意を整えている、一応歓迎してくれている雰囲気はあるけれど、この状況では余り食欲もわいてこない。

 多少無理して食事をすませた後は、特にやることもなく少し退屈していると、ディンが箱をもってきてあけろと言っている。あけてみると世界各地からのエアメールだ。中には日本からのものもある。手紙のやり取りは珍しくないらしい。

 そんなことをしているとしばらく昼寝の時間になってしまった。これが彼女らの生活パターンだろうか? 姉とディンは狭い方のマットで昼寝している、本当に申し訳ないです。他にやることもないのでオンとこっそりじゃれ合いつつ、こちらもしばし昼寝の時間。

 3時頃には一旦起きて、オンとテレビを見ていると、ディンがなにやら1枚の紙切れを見せてきてしきりに話しかけてくる。英語が多少話せるディンがオンの代わりに話しているらしい。話の内容は「私たちの生活はとても苦しく、先日オンは母親から送ってもらった金のネックレスを質入れしてしまった。質入れで得た金額は2000バーツで、取り戻すには3000バーツ必要だ。質流れしてしまうとオンは母親に申し訳ないので、あなたが立て替えて欲しい」ということだ。

 どういう理屈で私が立て替えることになるのやら、しかし、預け入れ証のような紙は本物らしいし、生活が苦しいのもこの部屋の状況をみれば本当らしい。3000バーツならまあいいかしょうがない。

 そんなわけで急遽、質屋に向かうことになった、タイの質屋ってどんな感じなんだろう。オンが指差すほうを見て少し驚く。質屋というのはゴールドショップの事か、ガイドブックなどには金製品が安く買えておすすめなんて書かれていそうな店だ。何がおすすめだ、(たぶん)違法な金利の高利貸しにすぎないではないか。

まあそんなことは今さらどうでもいい、店員に3000バーツ渡すと3090バーツと電卓を示す。むかつくなあ、この類の店、ネイティブのタイ人の経営ではないんだろう、そう思うと一層腹立たしい。多少抵抗を試みるも、この類の人間にかなうわけもなく3090ちょうど渡して、ネックレスはオンのポケットに。ゴールドショップだけが得をして一件落着。少し買い物をしてアパートに戻る。

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 アパートにもどりシャワーを浴びる。シャワーと行ってもトイレの個室がそのままシャワーになっており、脱いだ服は天井から下げられたハンガーに掛けておく仕組みになっている。ハンガーの真下がトイレの汲み置き水があるのが嫌な感じだ、慎重にハンガーに服を掛けシャワーを浴びて部屋に戻る。

 時間は19時、そろそろ彼女らは出勤時間のようだ。自分もスーツケースを持ち部屋を出ようとすると、荷物は置いて行けといっている。困った顔を見せると、これがあるから大丈夫とばかりに南京錠をみせる。そうじゃなくてホテルに行きたいんだけど、、、まあいいか。階段を下りると、昨日、ナナで会った姉さんが待っていた。二人の姉はそれぞれ別の店に行くらしい。私とオンとディンの3人はどうするんだろう?

 しきりにディンがソイカウボーイとか行っている。あそこには行きたくないと行っても聞かない。オンの方から行こうとは言わないが、ディンがどうしても言うことを聞いてくれないので仕方なくトゥクトゥクでソイカウボーイに向かう。P店到着、この店はドリンクがしつこいからいやなんだけど..適当に金を使ってこの店を出るつもり。30分ほどで店をでる、マスターがしつこくなんか言っている無視して店をでる。

 表を歩いていると、誰かが私の名前を呼んでいる。振り返ると知らない顔、よく見るとオカマちゃん、勝手に名前を覚えないで欲しいなー、それに何で抱きついているんだ?

 オカマちゃんをやり過ごし、オンとディンを連れてナナに向かう、ナナならまあ安心だし彼女の姉さんもなかなかの美形、時間をつぶすにはちょうどいい。姉さんのいるH店に向かう、2回目だし少しは気が楽だ。飲んでいるとオンが姉さんは疲れているし、踊るのも好きではないからペイバーして他の店に行こうと言い出した。ペイバーすれば今日の仕事はおしまいになるらしい。ペイバーを払い、みんなでナナの3階に行ってみる。

 ここはライブハウスらしい、バンドがビートルズのナンバーを始めると日本人の3人組のうち一人がステージにあがってしまった、歌うつもりらしい。その様子を見ていた白人客が一斉に盛り上がる、がこのオヤジとんでもないへたくそ。一気にしらけてしまう、それでも歌い続けている。本当に格好悪いなあー。

 しらけたところで今日はお開き、みんなでアパートに戻る事にする。アパートに戻ると、姉とディンがどこかに行ってしまった、2人に気を使ってくれているらしい。シャワーを浴びて早めにすませてしまう。明日、オンはナコンサワンに行くわけだから、これで最後ということだ。

「オンは明日から行ってしまうよね?」と聞いてみると、「行かない」などと言い出した、何を言い出すか訳が分からない。なんで行かないと聞いてみると「一緒に行こう、一緒でなければ行かない」などと言い出した。ますます訳が分からない、ナコンサワンは彼女の両親がいるわけだし、私が行って何をしろというのだ?

慣れないタイ日辞書を引きつつ、「両親はあなたにとって大切だ」とか、「両親はオンの帰りを楽しみにしている」とか「自分が行くとみんなに迷惑をかけてしまう」などと言ってみる。説明するまでもないことだ、けれど彼女は「一緒に行く」としか言わない。ついには怒り出してしまった。困ったなあ、なんでそういうことになるのだろう? 黙っていると彼女は姉を呼びに行ってしまった。姉と一緒に説得しようという作戦だろうか?

10分ほどで2人が部屋に入ってきた。姉に対しても伝える言葉はもちろん同じだ。姉は年上ということもあり、こちらの言っていることをすぐに理解してくれたようだ。どう考えてもこっちの方が正解だ。姉がオンに何か話してオンは少し落ち着いた。

変な一日だったなあ。

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ドアをノックする音で目が覚めた、朝の5時だ。ディンが帰ってきたらしい、お酒のせいだろうかやけに陽気だ。しかしどうも様子が違う、ディンだけではない、ボーイフレンドと一緒らしい。しかしこういうのはまずいなあー、私はこういう場所にいてはいけない人間だ、かといって入り口は一つどうすることもできない。

先方もこちらの存在は当然知っている、彼はこちらが見えない位置に座ってくれている。ただじっとしているよりほかにない。変な時間がやけにゆっくりと流れていく、彼はいつかえるのだろう。6時前になるとオンが外に行こうと言い出した。こんな時間に何をするのだろう、表の屋台で朝食の買い出しでもするのだろうか?ディンの連れも一緒らしい、買い物なら4人で行くことはないだろうに。 ここではじめて彼と目が合った、彼のほうも少し戸惑っている様子。

4人で表に出るとこの時間から屋台は結構な賑わいで、さっそくディンとオンは買い物を始めた、私と彼は見ているだけだ。ディンが何やらお菓子の屋台で買い物している。朝からそんなものを食べるつもりだろうか? まあ彼女らの生活に朝も夜もなさそうだから不思議でないといえばそうなのかも知れない。

オンが私の肩をたたく、彼女の視線の先には托鉢の僧侶の姿が。そういうことか、やっとわかった。彼女らの買い物はお供え物で、一緒に祈れと言うことらしい。僧侶の姿が近づくにつれ妙に緊張してしまう。他人の作法を観察するまもなく自分の番だ。自分の場合は、いまさらやったところで手後れだろうが仕方ない。4人並んで手を合わせる。

ディンの連れの彼はいつしか姿を消している、お祈りのためにきたらしい。宗教云々の話はよく分からない。とりあえず部屋に戻り早めの朝食を済ませた後、もう一眠り。

昼過ぎになると再びドアをノックする音、オンの友人らしい。身なりを見る限り同業者らしい。特にこちらを気にする訳でなく、服を着替えて階下のシャワーを浴びに行ってしまった。彼女はシャワーを浴びた後、買い物に行くとかで、部屋を後にした。  

今日は彼女がナコンサワンに帰る日だ、しかし昼過ぎになっても出発する気配はない。気を遣ってくれているのかな。「今日はホテルに泊まるから」と部屋を出ようとすると、「まだ行かないからここにいろ」と言う返事。いつ出発するのか聞いてみても、「まだ行かない」と繰り返すだけ。部屋にいてもすることもない。オンとディンと一緒に、食事と買い物に行ってみる。

買い物から帰って、シャワーを浴びると時間は17時ぐらい。一向に出発の気配もなく、再び同じ質問を繰り返すと、「今日は行かない」と言う返事。いったいどういうことだろう?再三、ナコンサワンに帰るよう行ってきたつもりだけど、こちらに気を遣っているのだろうか? 自分のせいで、彼女の家族に迷惑をかけている訳だし、このままではお互い気まずいだけだ。

とりあえずこの部屋から出ていったほうがよさそうだ。「今日はホテルに泊まりたいから」と言って部屋を出ようとすると。オンが「私と姉は仕事に行くから、ホテルまで一緒のタクシーで行く」と言っている。結局オン姉妹とディンと私の合計4名でタクシーに乗り込みスクンビットの適当なホテルにチェックインする。

チェックインしたはよかったが、全員ついてきてしまう。部屋に入って一休みと言うことか?ベッドの上でテレビを見たりしていると、ディンが上に飛び乗ってきてやたらとはしゃぎ出す。こちらとしては正直迷惑だ、かといって、今までの付き合いと、オンのルームメイトと言うことも会るので、邪険な態度はとてもできない。ディンもこちらが強い態度を取ることができないのを知っているのだろう、部屋を出ようとはせず、最後には「今日もソイカウボーイに行こう」と言い出した。

いいかげんにしてほしい。昨日も行きたくないと言っているのにどういうつもりだ。行かないと言っても一向に聞く気配もない。あまりのしつこさにだんだん腹が立ってくる。

本当に頭にきた、「じゃあ行くよ」とばかりに部屋を出て行き4人でソイカウボーイへ。おそらくディンは自分を店に連れて行くことに何らかのメリットを受けるのだろう。そう考えていると楽しく飲むなんて不可能だ。

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P店についてもただ不愉快なだけ、マスターがにこやかにコースターを並べ始めるも、ふざけるなとばかりに1枚残して後は返してしまう。後は何を言おうがすべて無視。店に顔を出せばそれで文句ないだろう、もうそういう態度しかとれない。ビールもほとんど口をつけず、10分ほどたった頃、レシートを差し出し料金を支払う。雰囲気の悪さは頂点に達した、その時オンが泣き出した、号泣である。もう訳が分からない、マスターが私に近寄ってきて「おまえは紳士だろう、紳士なら理由はともかく女性に謝るものだ」などと言い出す始末。

一言謝って済みそうな状況ではない。いい加減な事を言う男だ、マスターがすっかり嫌いになってしまった。女店主が「いったんホテルに戻りなさい、後で彼女を連れて行くから」と言っている。

そうすることにする。ホテルまでの帰り道これまでの経緯を思い返してみても、もう頭の整理がつかなくなっている、お互い言い分はあるにせよ、簡単な会話しかできない関係ではどうしようもない。後味が悪いけれどこれで最後になるんだろう。

ホテルに着いてキーを受け取っていると、白人女性がなにか声をかけてくる、もちろん単なる宿泊客の一人だ。「観光できました」、「私は日本人です」とかゴミのような会話を交わしていると、こういうのが普通なんだよなーなどと、妙な安心感を感じてしまう。が、それもつかの間、エレベータがとまり彼女は会釈して去っていった。

暗い部屋に一人でいると、バンコクにやってきて自分は何をしているのかと、ひたすら自己嫌悪に陥ってしまう。オンはもう戻ってこないだろうなー。

しかし、20分ほどで彼女は戻ってきた。ディンと姉も一緒だ。あの後何を話していたのだろう?みんな陽気で、オンはただ抱き着いて、「アイムソーリー」と繰り返す。屋台で買ってきたらしい食べ物を私にみせる。みんなで食べて仲直りということか。とりあえず食事して少しくつろいだ感じ。しかしこちらはまだ戸惑いを隠せない、あまりの変わりように少し引いてしまう。

英語が多少話せるのはディンしかいない。食事の後、彼女に何が会ったのかを聞いてみると、実は、オンは、現在P店に所属していなく無職であること。にも関わらずP店にこだわったのは、P店からの紹介で会うことができたのだから、その見返りとして私を連れて行く必要があった、またディンはそうすることで、いくらかのバックを手に入れることができるため必死だった。ということを話してくれた。オンとしてはそういう事情を話すことができずつらい立場だったのだろう。それにナコンサワンに帰って両親に会いたいという事情もあわせて、一層つらかったのだろう。

大方の予想はあっていた。そういう事情ならば、納得の行く話だ、早く言えばいいものを。店をやめた理由を聞いてみると、あの店の年配の人達は、口先だけの人間ですぐ嘘をつくということらしい。ゴーゴーバーはソープランドなどと違ってある程度、女性の自由が保障されているものだと思ってたが、少なくともP店ではそういう事ではないらしい。

最後にディンとオンが「私がこういう話をしたことは黙っていてほしい」と念を押していた。このことで私が、P店にクレームをつけたところで、迷惑するのは彼女たちだけなのか。

 時間はいつしか23時、姉とディンは帰るようだ。別れ際にオンがディンに500B札を手渡し、ディンは黙ってそれを受け取る。見なければよかった、オンも同じ考えらしく、しばし沈黙。あとでオンが「ディンは子供だからと」と言っていた。いろいろあった一日もこれで終わりだ、あとは2人の時間がすぎていく。

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 8時頃に目が覚める、オンはこちらの顔色を窺うというか、なんか言いたいことがあるようだ。聞いてみると、「ナコンサワンに一緒に行こう」とまた言い出した。彼女がそこに行きたいのはよく分かるし、自分に構わず行ってしまえば良いことだ。しかし彼女は一緒でなければ行かないつもりらしい。オンが行かないと姉も行かないらしく、いつの間にか自分の立場が不利になっているようだ。

 ガイドブックをみてみると、ナコンサワンには2重丸の印があり、大きな街であることは間違いなさそうだ。距離はバンコクの北、約300km。タクシーで行くと約4時間で料金は1500バーツ程らしい。

 「いってみようかな?」すこし気が変わってきた。というか、そうしないと彼女の家族に迷惑を掛けてしまう、いままでの事でも充分迷惑を掛けているわけだし。彼女とナコンサワンに一緒に行って、自分はどこか適当なホテルに泊まって、普通の観光でもしてればよいし、彼女等は実家に向かう、オンの都合が良ければ自分のホテルにも来るだろう。よしこれで丸く収まりそうだ。オンに自分の考えを何とか伝え、彼女も理解した様子。一緒に行くことを知って、急に陽気になってきた。

 チェックアウトを早々に済ませ、表でタクシーを拾う。まずは姉を迎えに行くことにする。タクシーが着いたのは自分の知らないアパート、何でここで停まるのかなと思っていたら、知らない女性が笑顔でタクシーに乗り込んでくる。この女性も姉らしい、次に向かったのはオンのアパート。ここでH店に勤める姉が乗り込む。自分一人が車中で浮いた存在であるが、とにかくこうしてナコンサワンへのドライブが始まった。

 単調な景色が続く道を、タクシーは時速120kをキープして走り続ける。2時間ほどたったところで、給油を兼ねて少し休憩。一番年輩の姉が私に話しかけてくる、彼女も以前はGOGO勤めだったが、今はソムタム屋さんをしているとのこと。なぜかドイツからのエアメールを私に見せて、今のボーイフレンドだなどと言っている。どうやら、恐縮しきりの私を気遣ってくれているようだ。ここで遅めの朝食を済ませた後、再び出発。

 車はいつしか幹線道路を離れている、1時間ほどすぎたところで小さな街の市場に到着、土産代わりの買い物をしているようだ。タクシーのメーターをみる限り目的地はそう遠くないことがうかがえる。買い物を済ませた後、タクシーはすぐに赤土の道に入ってしまった。嫌な予感がする、周りの景色は田んぼだけ、たまに民家が数件固まってだけで、自分の泊まれそうな建物なんてどこにもない。そんな道を1時間ほど走ったところで嫌な予感は見事的中してしまった。

 小さな民家の庭にタクシーは停車する。すぐに家の中から10人ぐらいが現れた、そのうちの1人の顔は知っていた。オンに見せてもらった写真の中の人物だ、つまりオンの母親である。呆然と車中から外を見ていると、外からドアが開けられた。あぁ、いったいどうすればいいんだ...

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 いまの気分をどう表現すればよいのか?パトカーからおろされる犯人の気持ちと言うのはいまのかんじかな?自分の様な人間が彼女の親にどんな顔を見せれば良いのか分からない。 とりあえず神妙な顔つきで母親に向かいワイをしてみる、結果はどうあれそうするしかない。母親がワイを返してくる、とりあえず良かった。周りの誰だか分からない大人達にも同じ事を繰り返す。オンのほうに目をやると、金のネックレスを母親の首につけているところだった。

 珍客の出現に、余り驚いた様子を見せないのに少し拍子抜けしてしまう。私が来ることは事前に知らされていたのかもしれない。子供が私のスーツケースを運びはじめた、オンと母親に案内され小さな部屋に通されてしまう。小さな部屋にはベッド代わりのマットと小さな棚があるだけ。どうしていいか分からずマットの上に座っていると、扇風機とカラーテレビが運ばれてきた。そしてしばらくすると料理が2皿と、細かい細工の銀製の水差しが運ばれてくる。

 バンコクにきて混乱しっぱなしであるが、ナコンサワンはそれ以上。歓迎されている様子であるがそれが理解できない。頭を抱えつつ、オンと一緒に食べ始める。それよりさっきから気になっていることがある、まだ父親と会っていない。おそるおそるオンにそのことを尋ねると外出しているとのこと。これで、しばらくくつろげそうにない。いっそ逃げ出したい気分になるが、車で1時間の赤土の道を思い出すとそれもできない。

 落ち着かないまま30分ほどすぎると父親が戻ってきた、緊張感が頂点を迎えるときだ。しかし、いまさらどうしようもない。すぐに外に出て挨拶しに行く、上半身裸の日焼けした人がそうに違いない。ワイをすると黙ってワイを返される。 父親は魚を取りに行っていたようで、バケツの中のナマズを私に見せて「すごいだろう」といった感じで笑い掛けてくる。そんな態度にひたすら呆然となるばかり。

 そのうち、外に出てビールを飲むことになった。外の縁台に案内されるとそこには、オンとその両親、同行した姉2人、オンの姉とその夫、オンの弟、妹が3人、犬2匹、アヒル20羽...目眩がしてきた。縁台の端に腰を下ろすと、真ん中に座れと移動させられてしまう。心配することはないのかもしれないけれど、冷や汗ばかり流れていく。

 オンの姉の夫が話しかけてくる、このメンバーの中では一番私に近い立場の様に思うと少しは気が楽になる。彼はバンコクでトゥクトゥクの仕事をしているせいで少しは英語が話せるようだ。オンは11人兄弟の8番目であること、ソムタム姉さんの子供はナコンサワンに預けられていること、ここにいない人はみんなバンコクで仕事している事などを話してくれた。  

 ビールがなくなってくるとソムタム姉さんが500バーツちょうだいと言ってくる。出そうとするとオンがそれを制止して、少し苦笑い。オンが席を外した隙に500バーツを手渡す。大瓶が次々と空いていく、いつしか近所の人も飲み始めている。

 飲むと顔に出る体質が幸いして、真っ赤な顔の私をみて父親が部屋で休むようにと言っているようだ。助かった、とばかりに小部屋に戻るとオンもついてきた。顔を洗って、水を少し飲む。本当に疲れた、しばらく2人で横になる。

 1時間ほど休んでいると、顔の赤みも引いてきた。子供達はこちらの様子が気になって仕方ない様子。最初、目が合うとすぐに逃げ出していたのが、なぜか少しなついてきた。子供の1人が手招きしている、一緒に遊んで欲しいみたいだ。庭に出て、子供3人と、ソムタム姉さんとボール遊びを始める。子供はいつまでもやめようとしない。

 「あーぁ、俺はいったい何をしているんだろう」、子供がなつくほどに気が重くなる。周りのみんなはビールを飲んで笑っているだけだ。

 日が落ち始めると、辺りは急に真っ暗になる。ようやく子供達から解放されたと思いきや、ソムタム姉さんがみんなでディスコに行こうと誘い出す、どこで手配したのか表には小型トラックが待機している。こんな田舎のどこにディスコがあるんだろう?オンの両親と、小さな赤ん坊がいる姉を残して、みんなでトラックの荷台に乗り込んで出発する。

 延々と続く赤土の道をひた走ること約90分。ずいぶん開けた街についた、どうやらここがナコンサワン中心地らしい。なるほど、街の明かりがどこまでも続いている。オンの指さす遥か遠方にライトアップされた黄金仏が輝いている、あれが街のシンボルなのか。街の明かりをみているとオンの妹がやってきた。ずいぶんなついてしまったなあー、どこまでもついてきて手を離さない。

 目的であったディスコはかなり大きなもので、お客はもちろんタイ人だけ、どうやら今日は人気歌手のライブが行われているらしい。タイトルは分からないが聞いたことのある音楽だ、広い場内は立ち見席も満席と言った盛況ぶり。せっかくだから楽しんでいきたい気もするが、小さな子供も一緒のためディスコは少し覗いただけで、食事をして帰ることにした。

 ディスコの表のテラスで食事をした後は再びトラックに乗り込み、一路彼女の実家へ。暑い国のタイとはいえ、夜間にトラックの荷台では相当体が冷えてしまう。みんなで毛布の中に収まり、ひたすらじっと待つばかり。毛布の中に誰がいるのか分からなくなってしまう。

 1時すぎにようやく到着。後は寝るだけだ、両親に挨拶して部屋に戻ると蚊帳がつるしてある。しかもよく見ると枕が2つ。その場で呆然としているとオンがやってきて、蚊帳に入って手招きしている。二人で蚊帳に入っていると、広間の方では、楽しそうな家族の語らいが続いている。こうしてナコンサワンの夜は更けていく。

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 翌朝、炊事の音で目が覚める。今日はバンコクに戻る日だ、帰りはバイクでバスターミナルまで送ってくれるらしい。オンが一緒にバンコクに戻ると言い出した。以前聞いた話では、1月2日までナコンサワンに滞在すると言っていたのに。「両親と一緒にいなさい」と言っても聞く様子はない。仕方なくソムタム姉さんにオンを説得するように頼んでみるとすぐにこちらの意図は分かった様子、後はお姉さんに任せよう。

庭に出て、大きくあくびしていると、レプリカタイプのバイクに乗った女性がやってきた、オンに会いにきたらしい。田舎道に似つかわしくないバイクに、垢抜けた雰囲気、彼女も同業者だろうか?オンと少し話をした後に彼女はさっそうと行ってしまった。

昼過ぎにここを出発するらしい、あと3時間ほどある。部屋にオンと一緒にいると今まで自分が彼女に接してきた態度が急に嫌になってくる。日-タイ辞書を取り出し、「今まで自分勝手なことばかりしてきてすまない」、「オンだけでなく皆に迷惑をかけてしまった」、「ディンにも嫌な思いをさせてしまって彼女に申し訳ない」と言うことを伝えてみた。うまく伝わっただろうか?彼女は笑顔で「マイペンライ」を繰り返す。

 そろそろ出発の時間だ。オンの妹は今日はおとなしくしている。トゥクトゥクさんが後ろに乗れとシートを指差す。後ろに座り、さあ出発だ。と思ったら違った、オンがその後ろに無理矢理座る。ソムタム姉さんのほうをみると、にこにこしているだけだ。自分から降りろとは、今更とても言い出せない。

3人乗りのボロバイクがターミナルに向けて走り出した。彼女の両親ももう一台のバイクで見送りにきてくれるらしい。1時間ほどで町はずれのターミナルに到着。目的のバスはワゴン車のミニバスのようだ。とりあえず荷物を乗せ、出発の時を待つ。乗車客が集まるまでバスは発車しないようだ。

石のベンチに腰掛けていると、彼女の父親が隣に座れと手招きする。言葉ができないためお互い黙ったままだ。話ができたところで何を話せばいいのだろう?小猫が足元にやってきた二人でなんとなく小猫とじゃれているとふと目が合い笑ってしまう。
30分ほど待っていると出発の時間だ、オンの両親が私に何か話しかけてくる。オンに聞いてみると「カムバック・ナコンサワン」と言う返事。彼女が知る英単語はいくつあるんだろうか?この返事にどう答えれば良いのだろう?返事に困っていると父親が手を差し出した。軽く握手してバスに乗り込む、お別れの時間だ。ここに戻ってくる日はあるだろうか? ミニバスはバンコクに向けて走り出した。

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